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2006年07月22日 17:17 ジェット好き
牛肉恐い
梅雨だから雨が降るのは当り前、これが世間の常識である。それにしてもそろそろ太陽が活躍してもらいたいと思うそんなある日、社内での会話も天気から始まりその日の新聞の見出し記事の話題へと流れるいつものパターンである、そのパターンに飽きたのかもしくは新聞の記事よりも興味をそそられる事なのか?
「そういえば昨日変わった奴に会ったんだけど」
どの話の繋ぎでその言葉が出てきたのかいきなりそんなことを言い出した奴に周囲は注目する。
「そいつスイカが嫌いで、そのせいで夏まで嫌いらしい、何故夏まで嫌いになるのか聞いたら・・・
「頂き物ですけど」とか「我が家では初物です」とか、最近ではラーメン屋の冷やし中華にさえ付いてくる、そして最悪な事は出す側はみんな「どうだ!うれしいだろう!」みたいな顔をしている 」
・・・って言うんだ」
「う〜ん、持て成す側の気持ちは解かるけど実際出されると困る食物かもね」
「冬だとりんごとか剥いて出されると食べなきゃいけないと思うもんね、みかんだったら気にならないけど」
「でも食べられない物はしょうがないから断るなり残したりする事になる」
「それが問題なわけだ、俺自身そいつを変わった奴と思った理由がそいつの最大の悩みなんだが、スイカが嫌いな人間がこの世にいる事が信じられない」
「そうだね、そういう人に嫌いなんですって言っても信用されないだろうから、持て成しを無にする失礼な奴って思われるかも、嫌いな食物だって解かればかえって悪いことをしたって気に成るのにね」
「でもセロリやニンジンみたいに嫌われ物としての地位を確立している食物でも好きな人から見たら理解できないじゃない?」
「逆に言えば、自分が嫌いな食物を食べる人が理解できないって事も言えるね」
「最近だと、この調理法だと食べられないとかっていう物が増えてるかも」
「酢豚のパイナップルがその代表だね」
「そういうのって味がどうのっていうより、思考的に果物がおかずとして認められないだけだと思う」
「食わず嫌いな食物って結構あるかも」
「高級すぎて食べた事がなくて好きとも嫌いとも言えないものも結構あるよ」
「自分では苦手なホヤも捕れたては別物だっていうよな事を聞くといつか捕れたてのホヤを試したいって思う」
「それって子供の時は嫌いだった食物が大人になって好物になってるっていうのに近いね」
「味覚っていうか好みっていうのは気がつかないうちに変わってる」
「嫌いな食物の理由の多くが子供時代のトラウマなんだろうから、ある程度歳をとって過去の記憶があいまいになってしまえば嫌いなものが無くなるね」
「そういえば、みんな御中元ってどうしてる?」
いままでの会話に参加している全員が同じ事を考える瞬間、いままでの会話を踏まえて新たな局面に移動することに全員が了承するかどうかという瞬間でもある。
「そうだね御中元を送る場合も相手に喜んでもらいたいから好物を知っていると選ぶのに苦労しないね」
新たな局面への移動を全員が了承したようです。
「自分自身送ったり送られたりした事がないから考えたことないな」
「最近知ったんだけど、うちの親が毎年御中元と御歳暮を上司に贈っていたらしい、最近そんな事流行らないからやめてくれって頼んだら、流行でやる物じゃないしおまえが嫁をもらうまではこれが親の役目だって逆に怒られた」
「それじゃ今年の部長に届く御中元は少なくても一個はあるって事だ」
「部長には取引先からも結構多いみたいだよ、部長ってああ見えてお酒を一滴も飲まない人だから去年の御歳暮で贈られてきたビールとか高級そうなお酒とか全部会社に持ってきてみんなに配ってたね」
「そうそう、わざわざ会社まで持ってこなくても近所とか親類に配れば良いのに」
「会社の立場上頂いた品を会社の人間に配るのは当り前だろう、それに家でアルコールは料理以外必要ない」
「ってことらしい」
「それにしてもアルコール以外にも缶詰やらいろいろと一週間くらいかけて毎日持ってきていたから大変だったんじゃない?毎年そうなの?」
「ここの部長だけは昔からそうみたい」
「缶詰やらビールは箱のまま持ってきていたから結構重かっただろうけど、だからって持ってくるのをお手伝いしましょうっていうのも失礼だし」
「御中元なんかも持ってきてるの?」
「知らないの?御盆休み前の会社の屋上でやる宴会のビールやつまみの一部がそうだよ」
「知らなかった!」
「そうだね、その時は幹事がお宅まで取りにいくから幹事経験者しか解からないかも」
「そういえば去年の御歳暮に松茸まであったね」
「取引先の会社が景気いいってこと?」
「なんでも部長のお宅が奥さんと二人暮らしで食物の趣味がほぼ一致するらしくて、二人とも松茸なんて一年に一回食べればいいくらいにしか思っていないっていうかそれほど好きでもないみたい」
「部長の好物ってなに?」
「誰か知ってる?」
「特になにかが好きってことはないみたい、苦手な物はアルコールと・・・」
「そういえ牛が苦手だよね」
「そうだ牛肉が苦手なんてスイカ嫌いと同じくらい理解できない!」
「豚や鳥は大丈夫なんだよね」
「子供の時牛飼ってたとか、なんかトラウマなんじゃない」
「ねえ!御中元ってもう贈られちゃったかな?」
「どうだろう?家ではお盆前くらいに届くようにしてるみたいだけど」
「なに企んでるの?」
「面白いことを思い付いたんだけど聞く?」
なぜかこういうシーンになると声のトーンが下がる、そして良く聞こうとして人の輪は小さくなる。
「例えば、部長宛の御中元にちょっと高級な牛肉が届いたとしたらどうなる?」
「嫌いなものを贈られて怒る?」
「まさかそんなことはないだろう、御歳暮の松茸でさえ会社に持って来たくらいだから肉だって持って来るだろう」
「それじゃ俺たちが食べれるってこと?」
「そういう事、ただし贈られて来なければ食べれない」
「だから、贈ってくれそうな相手にそれとなく部長の好物は牛肉ってことを伝えれば」
「今年の屋上での宴会が焼肉パーティーになる!」
「焼肉!」
「とりあえず親には松坂牛を贈るように言っておく!」
「でも、なんだか部長に悪くない?」
「大丈夫だよ、御歳暮の時期には蟹が好物になればいいんだから」
--数週間後の部長宅--
「ねえあなた」
休日の昼近く、妻がこの時間になにか聞いてくる事は昼食のメニューの話題以外考えられなかった、だから今自分の頭の中には数々の料理を思い巡らせ胃の反応を確かめていた。
「今年のお中元なんだけど」
長くつき合っている人同士だとなんとなく次の動作や言動が予想できるようになってくる、だから妻のその言葉で一瞬戸惑った自分を妻はにこやかな顔で無視しながら続けて言った。
「頂いた中に高級ステーキ肉とかすき焼き詰め合わせとかやたらと牛肉が多いんですけど?」
「牛肉が流行ってるんじゃないのか」
「何年か前に牛舌が流行ってましたけど、今はBSEが流行ってるくらいだとおもいますよ」
「アメリカ産の牛肉が贈られて来ているとしたら嫌がらせだな」
「全部高級国内産みたいですけど」
「やはり贈物として流行っているんじゃないか?」
「あなたが牛肉が大好物だって言い回っているのかと思いました」
「そんなわけないだろ、会社では牛肉嫌いで通しているんだから」
「牛肉は大好物じゃないんですか?」
「ああ大好きさ、だけどアメリカ産の牛肉だけはどんな事があっても食べたくないから外では牛肉嫌いで通しているんだ」
「そこまでしなくてもよろしいんじゃありませんか?」
「ところが知らないうちに何処産かわからない肉を食べさせられるものなんだよ」
「そういうものですか」
「そういうものですよ、そのうち”アメリカ産高級和牛”なんて商品も出てくるから君も気をつけてください」
「・・・アメリカ産高級和牛?」
妻は予想道理の表情をしてくれた。
「お昼は高級和牛の牛丼でも作ってもらおうかな」
<参考 落語のまんじゅう恐いより>
「そういえば昨日変わった奴に会ったんだけど」
どの話の繋ぎでその言葉が出てきたのかいきなりそんなことを言い出した奴に周囲は注目する。
「そいつスイカが嫌いで、そのせいで夏まで嫌いらしい、何故夏まで嫌いになるのか聞いたら・・・
「頂き物ですけど」とか「我が家では初物です」とか、最近ではラーメン屋の冷やし中華にさえ付いてくる、そして最悪な事は出す側はみんな「どうだ!うれしいだろう!」みたいな顔をしている 」
・・・って言うんだ」
「う〜ん、持て成す側の気持ちは解かるけど実際出されると困る食物かもね」
「冬だとりんごとか剥いて出されると食べなきゃいけないと思うもんね、みかんだったら気にならないけど」
「でも食べられない物はしょうがないから断るなり残したりする事になる」
「それが問題なわけだ、俺自身そいつを変わった奴と思った理由がそいつの最大の悩みなんだが、スイカが嫌いな人間がこの世にいる事が信じられない」
「そうだね、そういう人に嫌いなんですって言っても信用されないだろうから、持て成しを無にする失礼な奴って思われるかも、嫌いな食物だって解かればかえって悪いことをしたって気に成るのにね」
「でもセロリやニンジンみたいに嫌われ物としての地位を確立している食物でも好きな人から見たら理解できないじゃない?」
「逆に言えば、自分が嫌いな食物を食べる人が理解できないって事も言えるね」
「最近だと、この調理法だと食べられないとかっていう物が増えてるかも」
「酢豚のパイナップルがその代表だね」
「そういうのって味がどうのっていうより、思考的に果物がおかずとして認められないだけだと思う」
「食わず嫌いな食物って結構あるかも」
「高級すぎて食べた事がなくて好きとも嫌いとも言えないものも結構あるよ」
「自分では苦手なホヤも捕れたては別物だっていうよな事を聞くといつか捕れたてのホヤを試したいって思う」
「それって子供の時は嫌いだった食物が大人になって好物になってるっていうのに近いね」
「味覚っていうか好みっていうのは気がつかないうちに変わってる」
「嫌いな食物の理由の多くが子供時代のトラウマなんだろうから、ある程度歳をとって過去の記憶があいまいになってしまえば嫌いなものが無くなるね」
「そういえば、みんな御中元ってどうしてる?」
いままでの会話に参加している全員が同じ事を考える瞬間、いままでの会話を踏まえて新たな局面に移動することに全員が了承するかどうかという瞬間でもある。
「そうだね御中元を送る場合も相手に喜んでもらいたいから好物を知っていると選ぶのに苦労しないね」
新たな局面への移動を全員が了承したようです。
「自分自身送ったり送られたりした事がないから考えたことないな」
「最近知ったんだけど、うちの親が毎年御中元と御歳暮を上司に贈っていたらしい、最近そんな事流行らないからやめてくれって頼んだら、流行でやる物じゃないしおまえが嫁をもらうまではこれが親の役目だって逆に怒られた」
「それじゃ今年の部長に届く御中元は少なくても一個はあるって事だ」
「部長には取引先からも結構多いみたいだよ、部長ってああ見えてお酒を一滴も飲まない人だから去年の御歳暮で贈られてきたビールとか高級そうなお酒とか全部会社に持ってきてみんなに配ってたね」
「そうそう、わざわざ会社まで持ってこなくても近所とか親類に配れば良いのに」
「会社の立場上頂いた品を会社の人間に配るのは当り前だろう、それに家でアルコールは料理以外必要ない」
「ってことらしい」
「それにしてもアルコール以外にも缶詰やらいろいろと一週間くらいかけて毎日持ってきていたから大変だったんじゃない?毎年そうなの?」
「ここの部長だけは昔からそうみたい」
「缶詰やらビールは箱のまま持ってきていたから結構重かっただろうけど、だからって持ってくるのをお手伝いしましょうっていうのも失礼だし」
「御中元なんかも持ってきてるの?」
「知らないの?御盆休み前の会社の屋上でやる宴会のビールやつまみの一部がそうだよ」
「知らなかった!」
「そうだね、その時は幹事がお宅まで取りにいくから幹事経験者しか解からないかも」
「そういえば去年の御歳暮に松茸まであったね」
「取引先の会社が景気いいってこと?」
「なんでも部長のお宅が奥さんと二人暮らしで食物の趣味がほぼ一致するらしくて、二人とも松茸なんて一年に一回食べればいいくらいにしか思っていないっていうかそれほど好きでもないみたい」
「部長の好物ってなに?」
「誰か知ってる?」
「特になにかが好きってことはないみたい、苦手な物はアルコールと・・・」
「そういえ牛が苦手だよね」
「そうだ牛肉が苦手なんてスイカ嫌いと同じくらい理解できない!」
「豚や鳥は大丈夫なんだよね」
「子供の時牛飼ってたとか、なんかトラウマなんじゃない」
「ねえ!御中元ってもう贈られちゃったかな?」
「どうだろう?家ではお盆前くらいに届くようにしてるみたいだけど」
「なに企んでるの?」
「面白いことを思い付いたんだけど聞く?」
なぜかこういうシーンになると声のトーンが下がる、そして良く聞こうとして人の輪は小さくなる。
「例えば、部長宛の御中元にちょっと高級な牛肉が届いたとしたらどうなる?」
「嫌いなものを贈られて怒る?」
「まさかそんなことはないだろう、御歳暮の松茸でさえ会社に持って来たくらいだから肉だって持って来るだろう」
「それじゃ俺たちが食べれるってこと?」
「そういう事、ただし贈られて来なければ食べれない」
「だから、贈ってくれそうな相手にそれとなく部長の好物は牛肉ってことを伝えれば」
「今年の屋上での宴会が焼肉パーティーになる!」
「焼肉!」
「とりあえず親には松坂牛を贈るように言っておく!」
「でも、なんだか部長に悪くない?」
「大丈夫だよ、御歳暮の時期には蟹が好物になればいいんだから」
--数週間後の部長宅--
「ねえあなた」
休日の昼近く、妻がこの時間になにか聞いてくる事は昼食のメニューの話題以外考えられなかった、だから今自分の頭の中には数々の料理を思い巡らせ胃の反応を確かめていた。
「今年のお中元なんだけど」
長くつき合っている人同士だとなんとなく次の動作や言動が予想できるようになってくる、だから妻のその言葉で一瞬戸惑った自分を妻はにこやかな顔で無視しながら続けて言った。
「頂いた中に高級ステーキ肉とかすき焼き詰め合わせとかやたらと牛肉が多いんですけど?」
「牛肉が流行ってるんじゃないのか」
「何年か前に牛舌が流行ってましたけど、今はBSEが流行ってるくらいだとおもいますよ」
「アメリカ産の牛肉が贈られて来ているとしたら嫌がらせだな」
「全部高級国内産みたいですけど」
「やはり贈物として流行っているんじゃないか?」
「あなたが牛肉が大好物だって言い回っているのかと思いました」
「そんなわけないだろ、会社では牛肉嫌いで通しているんだから」
「牛肉は大好物じゃないんですか?」
「ああ大好きさ、だけどアメリカ産の牛肉だけはどんな事があっても食べたくないから外では牛肉嫌いで通しているんだ」
「そこまでしなくてもよろしいんじゃありませんか?」
「ところが知らないうちに何処産かわからない肉を食べさせられるものなんだよ」
「そういうものですか」
「そういうものですよ、そのうち”アメリカ産高級和牛”なんて商品も出てくるから君も気をつけてください」
「・・・アメリカ産高級和牛?」
妻は予想道理の表情をしてくれた。
「お昼は高級和牛の牛丼でも作ってもらおうかな」
<参考 落語のまんじゅう恐いより>
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